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2007.11.20

ねじめ正一■ 荒地の恋

20071120nejimeareti

いま

1と書いた

この悪の花は30で終わるはずである

原稿用紙にこう書いたとき、北村は明らかに明子との終わりを意識していた。「悪の花」の終わりとともに明子とのことが終わる。それがいつのことになるのか、去年の夏の北村にはわからなかった。

どのような終わり方になるのかもわからなかった。わかっていたのはただ、終わらせなければいけない、ということだけだった。〔…〕

そのようにして30篇がひとつのまとまりとなって現れた今、北村が感じているのはどん底を突き抜けた果てにある白々とした自由である。終わりは解放ではなく、自由もまた悲惨の一種であることが、今はわかる。

――「犬の時代」

*

*

■ 荒地の恋|ねじめ正一|文藝春秋|2007 09月|ISBN9784163263502

★★★★

《キャッチ・コピー》

53歳の男が親友の妻と恋に落ちた時、彼らの地獄は始まった。詩神と酒神に愛された男田村隆一。感受性の強いその妻明子。そして、明子と恋に落ちる北村太郎。荒地派の詩人たちの軌跡を描く力作長篇小説。

memo

 秋の一人旅、行き着くところは、どこでもいいさ。仕事があって、

 夢があって、それに大きくも小さくもない幻滅のあるところだ。

 

 20代の頃、北村太郎「センチメンタル・ジャーニー」のこんなフレーズを愛唱した。鮎川信夫、中桐雅夫、加島祥造など「荒地」の詩人たちが老いた姿で登場する。

小説としては、最後の2ページに愕然。

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