鹿島茂■ 鹿島茂の書評大全(和物篇)
「最近、文芸時評やってるそうですけど、純文学雑誌と小説雑誌とは具体的にどういうところがちがうんですか?」
「いや、それは思っているよりも簡単なことで、純文学雑誌、とくに若い男性作家の書く小説ってのは、段落もなければ句読点もなく、会話も地の文もダラダラと続くというところに特徴があります。この条件さえクリアできれば純文学雑誌に載ります」〔…〕
「なるほど、芥川賞作家モブ・ノリオ『ダウナー大学』(文学界)、舞城王太郎『みんな元気。』(新潮)、浅尾大輔『胸いっぱいの、』(同)。若手の男性作家はみんなこのスタイルですね」〔…〕
「じゃあ、こういうもんにも良し悪しはあるんですか」〔…〕
「声に出して5行読んでみればいいんです。そうすると同じダラダラ文でも才能のあるなしがわかります」
「ほほう、でお薦めは?」
――「とある1年、小説世界にどっぷり漬かってみた」
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■ 鹿島茂の書評大全(和物篇)|鹿島茂|毎日新聞社|2007年 08月|ISBN:9784620318271
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《キャッチ・コピー》
100の書評で日本の知をしなやかに描く愛書狂による最強のブックガイド。
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