村上龍■ すぐそこにある希望――Men are expendable vol.9
トラブルや事故や不祥事を起こした企業・団体のトップはとにかくまずテレビカメラの放列に向かって頭を下げることになっている。〔…〕
御辞儀というアクションを含む謝罪は、日本社会に必要なものだったのでこれまで習慣として続いてきたのだろう。謝罪はトラブルが起きたときに人間関係を円滑にする。〔…〕
謝罪は被害者の感情を慰撫する。謝罪は「あなたに対し謝ります」という単なる感情表現なので、原因究明や補償の程度や事後の改善策などは含まれていない。
謝罪そのものよりも原因究明や補償や改善策のほうが重要な場合は多いはずだが、日本のマスメディアは企業の不祥事の記者会見などではとにかく謝らせようとするし、多くの国民もそれを望んでいるようだ。
わたしたち日本人は、具体的な原因究明や補償や改善策を確かめるよりも感情的に慰撫されることを好むということになる。
感情の問題なので、謝罪によって感情が慰撫されないときは、「謝り方が悪い」「心がこもっていない」ということになって、どんなに謝っても許してもらえないことがある。
――「不祥事で、会社経営者はなぜペコペコ謝るのか」
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■ すぐそこにある希望――Men are expendable vol.9│村上龍|ベストセラーズ|2007年 07月|ISBN:9784584180358
★★
《キャッチ・コピー》
自殺、格差、老後の不安...どうやって生きのびるのか?
不信感と閉塞感が覆うこの時代にあって、本質的な問いを投げかけ、生きる意味と希望のありかをさぐる体感エッセイ。連載24年目に突入した長距離エッセイ2005年~2007年の2年間分。
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