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2007.12.19

小川洋子■ 博士の本棚

20071219ogawahakase

世間ではむしろ、長患いしないこうした死に方を理想とする向きもあるが、私の場合、慌て者であるだけでなく、怠け者でもあるので、仕事部屋を整理しないうちに急にお迎えが来ると、たいそう困った事態に陥る可能性が高い。

タイガースの選手との空想恋愛を綴った日記、若返りの秘薬、五寸釘、ちょっと人には見せられない趣味のビデオ、愛人の遺髪……。そのようなものがあちこちの引き出しから発見されるのは、少し恥ずかしい。

やはり最期くらいは、心を落ち着け、身辺をきちんと整頓し、本当に大事なものだけを手元に置いて、すがすがしい気持でいたい。本当に大事なもの、となれば私の場合、書物、ということになる。

ささやかな読書体験の中で出会った、親愛と尊敬の念を注いでやまない本。人生の傍らに、いつも変わらず黙って寄り添ってくれた本。死んだあとでも読み返したいと願う本。それらがほんの数冊、枕元にあれば、どれほど幸せだろうか。

――死の床に就いた時、枕元に置く七冊

*

*

■ 博士の本棚|小川洋子|新潮社|2007 07月|ISBN9784104013050

★★★

《キャッチ・コピー》

子供時代、わたしのお気に入りの場所は、図書室とこたつの中だった--。数学の本、文学の本、本とともに送る生活の幸福を伝える、極上のエッセイ。

memo

その枕元に置く7冊とは……。

『萬葉集』『アンネの日記』(アンネ・フランク)『中国行きのスロウ・ボート』(村上春樹)『西瓜糖の日々』(リチャード・ブローティガン)『ダーシエンカ あるいは子犬の生活』(カレル・チヤペック)『サラサーテの盤』(内田百閒)『冨士日記』(武田百合子)

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