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2007.12.18

森見登美彦■〈新釈〉走れメロス他四篇

20071218morimihasira

初めは小さな躓きに過ぎなかった。その時は気にもせずに眠った。そうすれば当分は巧くいく。ところがやがて、躓きが頻繁に起こるようになってきた。

文章というものが形を成さなくなってきたのだ。

何かを書こうと心を決めて机に向かっても、頭の中で夥しい言葉たちが蟲の如く蠢き出して、我も我もと前へ出ようとする。俺はそれを押しとどめて、これ一つというものを選ぶことができなくなった。

俺が書こうとしているのは、「赤い」なのか、「紅い」なのか、「朱い」なのか。「緋い」いや「赫い」かもしれん。悩むばかりで、俺は結局どの「あかい」も書けなかった。

――「山月記」

*

*

■〈新釈〉走れメロス他四篇|森見登美彦|祥伝社|2007 03月|ISBN9784396632793

★★

《キャッチ・コピー》

誰でも読んでる名作短編が、森見流に現代の京都によみがえる!!

「山月記」「藪の中」「走れメロス」「桜の森の満開の下」「百物語」の5篇が生まれ変わった!

異様なテンションで京都の街を突っ走る表題作をはじめ、先達への敬意が切なさと笑いをさそう、5つの傑作短編。

memo

 こういうのをリミックスというのだそうだ。

リミックス(remix)とは、複数のトラックに録音された既存の楽曲の音素材を再構成したり様々な加工を加えることによって、その曲の新たなバージョンを製作すること。またはその新しいバージョンの楽曲そのもの。

しかし、なぜ今リミックスなのかが分からない。森見作品の良さがいっこうに分からない。“青空文庫”で「山月記」「百物語」の原本を再読する機会にはなったが……。

森見登美彦■ 太陽の塔

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