立松和平■ 南極で考えたこと
46億年の時間を蓄積してきた地球は、人間がいようといまいと存在しつづけてきたのである。これからも同じように存在しつづける。人間のなした地球温暖化など、地球にとって取るに足りないことではないかと思われる。
地球はあまりにも壮大で、地球は地球を生きているだけなのである。人間のために地球が存在するなどということは絶対にないのだ。
その一方で、私たちはこの地球で生きていくしかない。地球温暖化は人間のなしたことでありながら人間自身にとっては罪悪そのものである。なぜなら人間自身が地球上での生存を許されなくなるからだ。
私たちは地球という偉大な存在を、せめて心から敬わなければならない。地球への尊厳の上にしか、私たち人間の尊厳はないのだ。そのことを噛みしめさせられた旅であったと思う。
――「地球と人間の尊厳」
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■ 南極で考えたこと|立松和平|春秋社|2007年 11月|ISBN:9784393421338
★★★
《キャッチ・コピー》
南極観測50周年に、南極を訪れた著者。厳しい南極の大地と、そこに活動する人びとの姿を通し、人間と地球と宇宙の“いのち”を思索する、感動の書。
《memo》
“地球に優しい”という欺瞞にみちた言葉がメディアで安易に使われていることを今さらながら思った。
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