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2008.01.10

日本経済新聞社:編■ 日記をのぞく

20080110nikeinikkiwo

「招かれざる客」のタウンゼント・ハリスは1856年(安政3年〉93日、下田の玉泉寺に入った。星条旗が翻り、そこが臨時の領事館になったが、日米修好通商条約締結の準備は一向に進まない。いら立つハリスを慰めたのは素晴らしい下田の風景だった。〔…〕

この人、生来細かい性格らしく、食べ物、動物や昆虫、草木、金銭、出入りの人々などをつぶさに観察、記述は詳細をきわめる。〔…〕特に日本の風俗の描写は驚きに満ち、愉快だ。〔…〕

下田の銭湯は混浴で、ハリスは「労働者階級は全部、男女、老若とも同じ浴室にはいり、全裸になって体を洗う。私は、何事にも間違いのない国民が、どうしてこのように品の悪いことをするのか、判断に苦しんでいる」と戸惑う。

女性の貞操は危うくならないのか、と余計な心配をした後、「(混浴の)露出こそ、神秘と困難とによって募る欲情の力を弱めるものである、と彼らは主張している」(いずれも1029日の日記)と書いていて、ハリスの謹厳実直ぶりを彷彿とさせる。

――タウンゼント・ハリス「ハリス 日本滞在記」

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■ 日記をのぞく│日本経済新聞社:|日本経済新聞出版社|2007 11月|ISBN9784532166441

★★★

《キャッチ・コピー》

歌人、宣教師、サラリーマン武士、明治の外交官、近代日本文学の巨星、太平洋戦争下の喜劇王、昭和天皇の侍従、現代作家―平安時代から今日まで、25人が書いた日々の生活、愚痴、批評、思索を読む。

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