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2008.01.12

日本経済新聞社:編■ 現代文化入門講座

20080112nikeigenndaibunnka

大作曲家がこの世と別れを告げようとする時、のちの人々にまるで贈物のようにのこしていく音楽がある。そんな作品をいくつかたどってみたい。

たとえばグスタフ・マーラーなら、「大地の歌」がある。〔…〕

この作品は、ハンス・ベートゲの「中国の笛」という漢詩の訳詩集から発想されている。李太白や王維の詩を、ベートゲがかなり自由に訳したもので、この世のはかなさ、一瞬の出会いをうたう東洋の詩が、マーラーに響いたようである。〔…〕

「大地の歌」の最後、第6楽章は「告別」と題されている。

私はもうすぐやってくるその時(死)を静かに待っている。私は大地に帰ってゆく。だがその大地は、春になればまた花が咲き出すだろう。そしで緑に包まれ、どこまでも、どこまでも青く青く輝やくだろう、永遠に……、とうたわれる。そして私はその永遠の青のうちに消えていく。

マーラーの晩年の作品のラストは、いずれもひっそりと、消えていくように終っている。まるでため息のようだ。

――海野弘「大作曲家晩年の別れの曲・マーラー「大地の歌」ウィーンへの愛」

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■ 現代文化入門講座│日本経済新聞社:|日本経済新聞出版社|2007 10月|ISBN9784532166427

★★★

《キャッチ・コピー》

発見された画家(赤瀬川原平)/二十一世紀ニッポン文学史(高橋源一郎)/歌舞伎人物史(渡辺保)/ニッポン写真の革新者たち(飯沢耕太郎)/現代俳句のパイオニアたち(小林恭二)/時代を駆けるロック(渋谷陽一)/落語ことはじめ(立川談四楼)/米国文化の原風景(青山南)/日本建築歴代ランキング(藤森照信)/日本推理小説小史(有栖川有栖)/大作曲家晩年の別れの曲(海野弘)

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