山本文緒■ 再婚生活
私のうつ状態をさして「精神的痛風」と言った人がいた。なんか引っかかったが、言い得て妙とも思ったので、そのときは何も言い返しはしなかった。今もあまりはっきりとは言い返せない。
仕事もうまくいって大きな賞もらい、山手線の円の中にぽんとマンションを買って、しかも優しい男性に求婚されて再婚までしたのだから、恵まれすぎだというふうなことを言われて「そうか、人にはそう見えるんだろうな。実際そうだしな」とは私も思った。
確かに今の私は、少しくらいは仕事を休んでも大丈夫な金銭的蓄えと仕事面での蓄えがあって、家賃の心配は事務所のものだけで、札幌にまで仕事用のマンションがあって、病気をしてもいやな顔ひとつせず看病してくれる夫がいる。
それでどうしてココロの病気になるのか、それが長引いてなかなか治らないのか、私自身も納得できないところはある。
――「人恋しいのか違うのか」
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■ 再婚生活│山本文緒|角川書店|2007年 05月|ISBN:9784048839754
★★
《キャッチ・コピー》
夫婦という葛藤。涙する心と孤独の病、鬱。あまりに小説的な魂の記録、著者3年の沈黙を破る告白日記。
《memo》
それでどうしてココロの病気になるのか、知りたかった。しかし41歳にもなった作家が以下のような地の文を書くのに驚き、1/4程度読んだところで断念する。
「さくさく帰っていった」「さっくりと自宅に戻る」「知っている人の方がヤバめです」「体がくったり」「早起きもここまでくると微妙に正しくない感じ」(以下略)
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