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2008.01.21

管宗次■ 俳遊の人・土方歳三――句と詩歌が語る新選組

20080121kanhaiyuu

こうした本を書く気になったのは、あらゆる土方歳三と新選組のことを書きあげた本が、ほとんど無批判に、もしくはこじつけて、次の発句を土方歳三の辞世の句としているからだ。

断定的にいえるが、これは土方豊玉の句ではない。

隊長討死せられければ

早き瀬に力足らぬか下り鮎

という詞書のついた発句だが、これを「力足らぬや」と釈文(翻字)している本すらある。〔…〕

右の発句は、現在、土方歳三資料館にあるものだが、安富才輔(才介とも書く)という新選組の隊士(馬術指南役)が土方隼人(土方歳三の甥)に宛てた土方歳三の戦死の知らせの手紙の奥に添えられたものである。

隊長討死せられければ

の「られ」は尊敬の助動詞であるから文字通り、「土方歳三隊長がおなくなりになったので」、次の句は、私(安富才輔)のつくった事例の句です、お受けください、の文脈で、発句は絶対に土方豊玉の句ではありえない。出来のよい高校生なら間違えないようなところである。

――「第2部 俳遊・土方歳三」

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■ 俳遊の人・土方歳三――句と詩歌が語る新選組|管宗次PHP研究所|2004 01月|新書|ISBN9784569633466

★★★★

《キャッチ・コピー》

報国の心ころをわするゝ婦人哉―。京、大坂の太夫や舞妓の雅を詠んだこの句の作者は、新選組副長・土方歳三。『豊玉発句集』などから、俳諧に遊び、“ハイカラ”に憧れた土方の人物像が浮かびあがる。

一方、対照的な“バンカラ”の局長・近藤勇。その実像も漢詩や初公開の書簡から伝わってくる。

初志を貫こうとする近藤の純粋さと、近代人へと生まれ変わろうとする土方の時代感覚。文芸に励んだ、知られざる新選組に迫る注目の書。

memo

俳壇の人ではなく新選組研究者でもない国文学者による新選組と歳三像に関する興味深い雑学的授業。

司馬遼太郎が考えたこと2

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