宮崎三枝子/構成編集・高平哲郎■ 白く染まれ――ホワイトという場所と人々
勝(新太郎)さんが俺の芝居を見に来てくれて、ホワイトで終わるのを待ってるって言うの。〔…〕
そしたら向こうから首をこうやって(たけしさんの真似)いる人が来るわけよ。「よく会うねえ。ここ?」 「ああ。ここ」で、一緒に入っていったわけよ。「あ、なんだい。たけしと勘九郎いっしょに来たのか」「いや別々ですよ」「たけしさんのこと呼んだの?」「いやいや呼んでねえよ」って。
で、三人で飲んで、その時にさ、座頭市撮ろうって話になった。これもさ、だからそういう話ができる店さ。ミーコママいたってそこに口を挟むわけでなく、わかるでしょ? いい感じで水割りを作ってくれる。そうすっと話が進むな。
そしたら「たけしおまえやってくれ」ってわけよ。あれよ、座頭市の監督を。「そんで俺、座頭市やる」って言ったらたけしさん乗っちゃって、「そいじゃあ私が座頭三をやりますから、勘九郎さん座頭二をやりませんか?」だって。バカなはなしが、と笑う。
だからそれこそ勝さんが死ぬ前にそういう話になって、今度やったじゃない、たけしさんは。だからその現場がホワイトなんだよ、まさに。
――中村勘三郎「まだまだ水晶玉光らして俺たちを癒してくれと」
*
*
■ 白く染まれ――ホワイトという場所と人々|宮崎三枝子/構成編集・高平哲郎|IBCパブリッシング/洋販|2005年 09月|ISBN:9784896841466
★★★★
《キャッチ・コピー》
芸能界をはじめ各界の大物が青春を過ごした伝説のバー「ホワイト」。総勢70名の著名人による書き下ろし原稿やインタビューを通して、当時の熱気がページによみがえる。
《memo》
1970年代後半から東京・四谷(のち六本木)にあったバー・ホワイトに集った人たちによるミーコ・ママへのオマージュ。
| 固定リンク
コメント