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2008.01.03

下川裕治■ 日本を降りる若者たち

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「タイに行けばなんとかなる」

という自信めいたものがあったはずである。

そしてタイに暮らしはじめることで、いままで自分を苛んでいた契約社員としての葛藤から一気に解放されると勘づいていたのではないだろうか。

「なぜ、いまもバンコクにいるのか、と聞かれてもよくわからない」

文男はそういうが、正社員として就職し、結婚して家族を養っていく――という、日本社会の呪縛から降りたのかもしれなかった。

「マイペンライ」は、短いタイ旅行に出かけた人でも耳にするタイ語である。「なんとかなるさ」という意味だが、その本質とは、つまりこんなことを指していた。そして実際になんとかなってしまうのが、タイという社会だった。

これを逃避とか現実回避と見る人が日本には多いのだろうが、タイという社会にまみれ

て暮らしていくと、なにも問題がないように思えてくるのだ。

*

*

■ 日本を降りる若者たち|下川裕治|講談社|2007 11月|新書|ISBN9784062879170

★★★★

《キャッチ・コピー》

日本で悩み続けたことがバカみたいいに思えてきた。バンコクをはじめ増え続ける「外こもり」。彼らがこの生き方を選んだ理由とは。

金もなければ、先も見えない。でも、ここでなら生きていける。

memo

「格差社会」「ワーキングプア」という日本の状況に「外こもり」というキーワードも加わった。

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