川崎昌平■ ネットカフェ難民――ドキュメント「最底辺生活」
身体が資本。ネットカフェ難民はどこの言葉がしっくりくる人種もそうはない。なぜなら、ネットカフェ難民は、すべてを背負って日々を歩むからだ。
自分の肉体がすなわち家であり、住所であり、憩いの場であり、財布であり、支出の対象であり、箪笥であり、本棚である。
倒れたが最後、身体は単なる肉体へと堕してしまう。生産と消費が表裏一体なので、どちらかが機能を果たせなくなれば、たちまち活動停止、社会にその籍を置けなくなる。
恐ろしいことだが、では恐ろしいからといって、的確な対処を事前に用意できるかと言えば、もちろん否。むしろ、健康を気づかっていたら、ネットカフェ難民なんてできるわけがなく、その意味ではひたすら悪循環にあることになる。
――*45-体調
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■ ネットカフェ難民――ドキュメント「最底辺生活」│川崎昌平|幻冬舎|2007年 09月│新書|ISBN:9784344980549
★★★
《キャッチ・コピー》
実家からネットカフェの空間に居を移した25歳のニート。日中は退屈で単純な労働に精を出し、夜は6時間深夜パックで眠る。やがて目に見えないところで次々に荒廃が始まった…。メディアが映し出さない「最底辺」の実録。
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