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2008.01.08

宗田安正■ 昭和の名句集を読む

20080108sodasyowano

まさしくは死の匂いかな春の雪〔…〕

<まさしくは>は雪を実とすれば死は虚。虚実一如。「実と称するものが虚であり、虚と思念するものこそ実なのだというふうな直観、この身もつねに虚に浮游している、といった体感なのである」(「虚の意味するもの」)と。

また「西行は、望月の頃の花の下陰を願ったけれども、私のばあいは、春雪そのものに化して消えるのが、似合わしいと思う」(「あとがき」)とも。〔…〕

薄着して柾目の恋の二月かな

雁帰る幕を揚げてもおろしても

まどろみのひまも仮面や花の冷〔…〕

老いの恋ともなれば<薄着して>柾目の板の木目のように筋の通った恋でなくてはならぬ。閒石のダンディズム。かつての句に<七十の恋の扇面雪降れり>も。〔…〕

<まどろみの>の<仮面>は、自我が外界と出合うとき、外界に対してとる素面の装い。

――『和拷』橋閒石・英文学者の俳諧

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■ 昭和の名句集を読む│宗田安正|本阿弥書店|2004 01月|ISBN9784893739940

★★★★

《キャッチ・コピー》

昭和の喜び、昭和の哀しみ。昭和初年から末に至る60句集を読み解くことによって、昭和俳句の達成と展開を辿る。次世代へ伝える昭和の遺産。

memo

神戸ゆかりの橋閒石はもっとも好きな俳人。

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