足立則夫■ 遅咲きのひと――人生の第4コーナーを味わう
平均的な夫婦の生き方を再現してみよう。太平洋戦争前までは、夫が60歳で社会的に引退すると、2年後には亡くなる。ということは夫婦が四六時中、顔を合わせるのはわずか2年。一人になった妻は、3年余りで息を引き取ったので、一人でどう過ごすかも、さしたる問題にはならなかった。
現在はどうか。仮に夫が65歳で社会的に引退するとしてみよう。夫が79歳まで生きるから、夫婦は14年間も四六時中、顔を合わせることになる。3歳下の妻は、その後、10年、一人暮らしとなる。これでは、とても60歳までの惰性では乗り切れない。
60歳前後で、夫婦のあり方、夫の生き方、妻の生き方を、それぞれ新たに立て直す必要が出てくる。これは未婚の人も同様で、60歳前後に、新たに手に入れた第4コーナーの生き方を改めて検討することが大切になるのである。
――第13章 遅咲きのすすめ
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■ 遅咲きのひと――人生の第4コーナーを味わう|足立則夫|日本経済新聞出版社|2005年 09月|ISBN:9784532165321
★★★
《キャッチ・コピー》
人生には何が待っているかわからないから面白い。70歳代の人気女優にノーベル賞学者、うつ病から脱出し会社を再建した人、50代を過ぎて文学博士になった元専業主婦まで、大器晩成型の人生を描くルポルタージュ。
クライマックスはこれからだ。急がず、あせらず、自分らしく…。「遅咲き主義」の粋人たちに学ぶ。
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