今村荘三■ お笑い通
いつか刺激は刺激でなくなる。鈍感になり、免疫ができてしまうのだ。
ながら見していても、気楽に笑えるものを。時間つぶしに最適な笑いを。
それこそ、モノマネ芸だ。
本家本元があるから、それをどういじるか、その遊び方を楽しめばいい。
第一声からパロディ芸だとわかるから、すぐ話に入り込めるのだ。
アタックチャンスと言いながら、こぶしを握り締めている男がいる。児玉清のモノマネをしている博多華丸だ。
尾崎豊のように破れたジーンズをはいて、鍋の中の昆布巻の自由を叫んでいる井上マーがいる。
ビバリーヒルズ白書の青春スターなのに、なぜか自転車に乗るディラン・マッケイになりきったなだぎ武もいる。
肩の凝らない軽い芸。
実は、楽屋芸として仲間の前だけで遊びで披露していたものが、受けたのだ。
ピン芸の「まかない食化」は、ここから始まった。
実際、もっと怠惰な大衆もいる。
その存在を目にするだけで笑えるものがいいと言う。
それは、芸として単純なもの。演芸として根源的な、お祝い芸に近いものだ。
――お笑いブームと大衆の思い
.
.
■ お笑い通│今村荘三|浪速社|2007年 12月|ISBN:9784888544351
★★★
《キャッチ・コピー》
笑いの頂点M‐1、R‐1を語ろう。M‐1グランプリ、R‐1ぐらんぷりから、お笑い人生、演芸コラムまで、「漫才通」の著者が語りつくす。
| |
| |
| 固定リンク
コメント