岡田尊司■ 脳内汚染
退屈したり、寂しくなったら、すぐにテレビをつけたりゲームをして、無柳や孤独を慰めてもらうという生活パターンは、寂しさや孤独をアルコールやドラッグで紛らわすことと同じなのである。
アルコールやドラッグは物質であり、テレビやゲームは情報であるという違いはあるが、脳にとっては情報だからといって、野放図に摂取して安全というわけではないのだ。情報であれ、そこに依存してしまうことは、物質依存と同じ書を引き起こすのである。〔…〕
ささやかな楽しみが楽しみとして感じられることこそが、幸せの本質なのである。ハラハラドキドキする興奮に我を忘れることにしか、心の解放を味わえなくなる状態は、まさに刺激中毒が起きているということなのだ。
心や脳は疲れ切っているのに、それでも刺激を求め続けている人は多い。その先に、消耗し切った心や脳を待っているのは、無気力や意欲の低下であり、うつ状態や心の空虚感なのである。
――「脳内汚染は回復できるのか」
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■ 脳内汚染│岡田尊司|文藝春秋|2005年 12月|ISBN:9784163678405
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《キャッチ・コピー》
子ども部屋に侵入したゲーム、ネットという麻薬! それらは虚構と現実を混同させ、中毒性があり、脳の発達を妨げ、犯罪すら引き起こす。医療少年院勤務の精神科医が、多くの実例をあげて世に問う警告の書。
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