木村紺■ 神戸在住(3)
「どないしたんですか?」
「ん!いやな!体育館の仏さん移そ思てな 校長にどっか空いとー教室ないかて聞いてんけどな。『用具庫使え』やて!アホちやうけ あのハゲ!死んだ人間なんや思とんじゃ!」
「言うたりな。子供に死体とか見せとーないんやて」
森さんのいらだちは中々冷めなかった。
「ダボが!ハラ立つわ」釈然としない思いが、澱のように溜まってゆく。〔…〕
「おーい!ちょっとええかー!」
と、そこへやって来たのは校長先生。
「はい!」
「あんなあ 教室使いたい言うとったやろ?」〔…〕
「僕らが率先して人助けせんと、子供らに優しい人間になれなんか言えへんわ。せやろ?」
そして、去り際にひと言。
「辞表書いたら、気ぃ楽になったわ」
「ふ」
校長先生の気持ちが伝わってきた。
――第24話 震災。
*
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■ 神戸在住(3)|木村紺|講談社|2001年 06月|コミック|ISBN:9784063211245
★★★★
《キャッチ・コピー》
――読めばきっと神戸に住みたくなるはず!?
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