三浦展■ 下流社会第2章――なぜ男は女に“負けた”のか
ここで重要なのは、これらの職業情報会社や派遣会社は、転職が増えたほうがもうかるし、派遣やフリーターが増えたほうがもうかるということである。
職業情報会社や派遣会社は、仕事にやりがいや、自分らしさや、「好き」を期待する人間を増やし、彼らを実際に離転職や非正社員化に駆り立てることで収益を上げているのである。〔…〕
だからこれらの企業は、仕事にやりがいや自分らしさや「好き」を求めて離転職する人を「開発」したと言えるだろう。
一方、実際に派遣社員やフリーターをしている人の多くは、生きがいのためではなく生活のために働いている。
だが、生活のためだけに働いていると思うと、働く側も気持ちが暗くなる。だから、自分のため、生きがいのため、好きだから働いていると思いたいし、そのために少しでも自分の条件に合わせて仕事を選びたいと思っている。
多くの仕事から自分の仕事を選びたいというニーズに、職業情報会社や派遣会社は応えたと言えるだろう。こうして、働く側と職業情報会社や派遣会社との利害が一致し、フリーターや派遣社員が増加した。
――第4章 下流の自分探しを仕組んだビジネス
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■ 下流社会第2章――なぜ男は女に“負けた”のか│三浦展|光文社|2007年 09月│新書|ISBN:9784334034177
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《キャッチ・コピー》
職業別・雇用形態別に見た人々の価値観を検証し、「正社員になりたくない」「管理職になりたくない」など、若者の本音を次々と明らかにする。
そして調査結果をもとに、近未来の雇用状況--準正社員、半正社員などの新たな職業集団の出現--も予見。雇う側、雇われる側とも必読の一冊。
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