東京新聞社会部■ 被告の背中――記者が追った法廷ひと模様
「このまま大きくなってもいじめられるだけ」と知的障害がある10歳の息子を刺殺した母親がいました。父親からの抑圧を逃れるために、両親を殺害してしまった15歳の少年がいました。国民健康保険料の徴収方法に疑問を抱いてたった一人で裁判を起こし、最高裁大法廷に臨んだ70歳の男性がいました。〔…〕
2009年の春から、国民が重大な刑事裁判の審理に加わる「裁判員制度」がスタートします。戦後最大の司法制度改革と呼ばれる〝実験″が始まるのです。
法廷がただ人を裁いたり、訴えた側と訴えられた側のどちらかに軍配を上げるだけの存在だとしたら、私たちが参加することにたいした意味もないのかもしれません。
しかしそこは、法が目的とする正義や、私たちが守らなければならない権利や民主主義が試されている場所でもありました。そしてよき法廷とは人間が人間を回復していく場なのだということを、私たちは裁判を見つめる中で学びました。
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■ 被告の背中――記者が追った法廷ひと模様│東京新聞社会部|東京新聞出版局|2008年 03月|ISBN:9784808308896
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《キャッチ・コピー》
間近に迫った「裁判員制度」の施行を前に、決してひとごとではない裁判のリアルな模様と、背後にある「日本の今」があぶり出されてくる社会派ドキュメント。
記憶に残る大事件、訴訟から、都会の街角で起きた小さな事件まで、「裁判」を知ることは、いまの「日本」を知ることに他なりません。
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