バラク・オバマ/白倉三紀子:訳■ マイ・ドリーム――バラク・オバマ自伝
洪水のように押し寄せる思い出の数々に比べると、頭の中でまとまっていたはずの理論は、空虚で早計なものに思われた。
とはいえ、自分をさらけ出すような、そして時に恥ずかしさすら感じる過去を本にまとめるつもりもなかった。私の過去が特に辛いものであったとか、思い出したくないからというわけではない。
あえて目を向けずにいる部分、つまり私が今生きている世界とは(少なくとも表面上では)矛盾している部分に、焦点を当てずにはいられなくなってしまうからだ。
しかも私はもう33歳である。そして市民の生活と政治に深く関わる弁護士として活動しているのは、シカゴである。人種の軋轢に慣れきって、この間題に対する感覚が麻痺しているような街だ。
この皮肉に気づかぬ振りをして仕事をしていられるのだから、1冊の本が社会を変えられないことくらい、分かっているはずだ。
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■ マイ・ドリーム――バラク・オバマ自伝│バラク・オバマ/白倉三紀子|ダイヤモンド社|2007年 12月|ISBN:9784478003626
★★★
《キャッチ・コピー》
黒人初のアメリカ大統領を目指す男、バラク・オバマ回想録。人生の目的を探してたどりついた家族と人種をめぐる感動の物語。
《memo》
生涯の半分にも満たない33歳までの「自伝」。
アイリーン・マクガン/ディック・モリス/大須賀典子・訳■ ヒラリーvs.ライス - 次期アメリカ合衆国大統領をめぐる闘い
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