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2008.04.02

加藤典洋■ 考える人生相談

20080402kathokangaeru

⑳ 我々の生活に花が必要ならば、なぜですか。

その理由ははっきりしてます。「花はしおれる」、「花の命は短い」からです。すぐに死んでしまうもの、そういうものを僕たちは必要としてるんです。

数年前、友人が死んで、そのお葬式で、友人の棺に花を入れました。友人の遺骸をみんなして花で覆いました。

切られた花は、後数時間しか持たない。すぐにしおれます。でもだからこそ、そこに占める命の割合は、大きい。ほとんど、100パーセント、命なんですね。ほとんど命そのもの、そういうもので、僕たちは、自分の親しい人間が死んだその空白を埋める。無駄な抵抗をするんです。

よく人に花を贈りますね。花はすぐにしおれる。それくらい、一生懸命生きている。花を切って、命を短くさせ、命を凝縮させ、僕たちは、それを人に贈る。

すでに贈り物というのが、人間にしかできないものだと、ラカンが言っていますが、花というのは、食べ物、旅行と並んで、その跡が何も残らない、素晴らしい「形にならないもの」です。贈り物に一番似つかわしい、「形」なのだと思います。

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■ 考える人生相談|加藤典洋|筑摩書房|2007 03月|ISBN9784480842749

★★★

《キャッチ・コピー》

あてどなく、てんで勝手に投げ出される質問。瞬発力で、でも脱力して繰り出す回答。人生の最低綱領の稜線を描く、全天候型、360度対応の人生相談shuffle。

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