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2008.04.03

戸井十月■ 植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」

20080403thoiueki

黒澤さんという人は好き勝手なことを言う人だった。

ある時ね、“どうも、我々っていうのは淋しいもんだね”てなことをしみじみ言うわけ。

“どんなところが淋しいんですか?”って訊いたら、“時間も何も滅茶苦茶な毎日だしね、朝早くから夜中までやって、へたすりやその翌日まで仕事してさ。その上、スタッフに気を遣ったりしなくちゃならない”なんてことを言ったの。

だから思わず言ってやったの、“黒澤さん、何を甘ったれたこと言っているんですか。好きなメンバーを集めて好きな仕事ができているのに、どうしてそんなことを言うんですか”って。

そしたら、何にも言い返さないで、自分の部屋へ帰っちゃった。

仲代達矢が来てね、“さすがですね、植木さん。やっぱり、植木さんに向かいに座ってもらってよかった。黒澤さんにあんなこと言える人、誰もいませんから”てなこと言うわけ。

僕は自分で思ったままを言っただけで、別に黒澤さんに恨みがあったわけでも何でもない。ただ、甘ったれてるな、大した男じゃないなと思っただけなの。

――第4章 そのうちなんとかな~るだろう

*

*

■ 植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」|戸井十月|小学館|2007 12月|ISBN9784093797795

★★

《キャッチ・コピー》

「日本一の無責任男」は、凛として、誠実で、優しかった。孤独、修行、絶頂、病気、老い、そして友情…。“ニッポンを元気にした男”が初めて全てを語り尽くしたラスト・インタビュー。

memo

 上述は、1984年『乱』撮影時の挿話。「現場では、さすが黒澤明ってところは一つもなかったなー」とも。

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