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2008.04.16

小幡欣治■ 評伝菊田一夫

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人間は生まれてから死ぬまで自分ひとり、死ぬときも、自分ひとりであってよい、と折にふれて言い続けたことを考えると、マンションへ移ってからは、ひそかに死を覚悟していたのではなかと思えるのである。

人はなんと言おうと、菊田一夫をして創作へ燃え上がらせたパッションは、愛する女性の存在だった。惚れたから本を書く、というよりは、愛する女に、惚れてもらいたいがために良い本を書くという稚気が、菊田一夫の創作の原泉だった。

だから書けるうちはまだよかった。純情と強引が同意語の菊田一夫は次々と恋愛を重ね、次々と本を書いた。しかし書けなくなって、フト気が付いたのは、体力も気力も衰えた自分の姿だった。あとがないと思った。〔…〕

菊田一夫にとって、あとは如何にして自分を葬るかが残された課題だった。

*

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■ 評伝菊田一夫|小幡欣治|岩波書店|2008 01月|ISBN9784000019422

★★★

《キャッチ・コピー》

『放浪記』『がしんたれ』『がめつい奴』はじめ、数々の名作で知られる劇作家・菊田一夫。その生涯は「小説より奇なり」であった。辛酸をなめた幼・少年時代、ロッパ一座での成功、「戦犯文士」の汚名、ラジオドラマ『君の名は』の空前の大ヒット、東宝重役時代の功績、そして名声の裏の葛藤…。永年身近に接してきた著者が、綿密な取材・調査をもとに、人間・菊田一夫を温かな眼差しで綴る。

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