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2008.05.15

山田宏一■ 日本侠客伝――マキノ雅弘の世界

20080515yamadamakino

終戦直後、まだ雅弘と改名する前のマキノ正博監督が、ある映画雑誌で、「民主主義の時代が来ました。監督はこれから、どんな映画を撮りますか」という問いに、こう答えていたとのことである。

主義は関係ない。ワシは昔から酢と主義は大嫌いや。どんな映画を撮りますか、とのご質問やが、活動写真を撮りたい。映画は、その時の権力と手をにぎらなあかんこともある。けど活動写真は、地面(じべた)の世界や。銭もろて、見てもらうのが活動写真。ワシは一生活動屋や。

映画作家ではない、シネアストではない、「活動屋」なのだ。

むずかしい顔をして「作家」としての自らの主義主張や、大義名分としての思想やテーマを表現することよりも、といっても、もちろん、思想もテーマもないというわけではなく、ただ表立って主張したりしないというだけのことで、何よりもまず気軽に誰もがたのしめる「地面(じべた)の世界」の大衆娯楽映画をつくることに徹したのである。

「その時の権力と手をにぎらなあかん」映画の新しさとは無縁な、昔ながらの、相も変らぬ人情ばなし、男と女の物語を、情緒たっぷりに語りつづけたのである。

――シネアストの肖像-マキノ雅弘

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■ 日本侠客伝――マキノ雅弘の世界|山田宏一|ワイズ出版|2007 12月|ISBN9784898302200

★★

《キャッチ・コピー》

傑作・名作・凡作・駄作をとりまぜ、260本余を撮りまくったリメーク/創造的反復の名匠。マキノ雅弘監督へのオマージュ。

memo

『マキノ雅弘自伝・映画渡世』(1977)に係わった著者のマキノ監督賛歌。

高橋聡/小沢茂弘■ 困った奴ちゃ――東映ヤクザ監督の波乱万丈

岡田 茂■ 悔い泣きわが映画人生――東映と、共に歩んだ50

立松和平■ 映画主義者 深作欣二

◆ 「日本侠客伝」をめぐる三者三様

◆ 任侠と加齢と

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