金井美恵子■ 目白雑録(ひびのあれこれ)2
一昨年あたりから一大キャンペーン化しているらしい8月はじめに東京で行われる「打ち水大作戦」である。〔…〕
去年は小池百合子環境相も参加し、真っ昼間、ヒシャクで水を撥ねちらかして、自民党女特有の厚塗りに浴衣姿で、あっ、冷たくなる、なる、と歩道に触れて発言していたのをテレビのニュース(!)で見たが、今年も、打ち水大作戦は正午から30分間の間に行われたらしい。〔…〕
常識として、古来、打ち水は、朝と夕方に行う。
真っ昼間にやったのでは、焼け石に水で、かえってそこいらが蒸し暑くなるからである。
今年の打ち水大作戦の前日の午後3時頃には夕立があって、中途半端な降り方だったものだから、その後、蒸して蒸してかなわなかったのだが、
正午に打ち水〔…〕をして、温度がどのくらい下ったかを調べてメールするというキャンペーンというのは、まったくの無駄どころか、自己満足の「愚行」とこそいうべきで、8月という季節がら「竹やり作戦」というのを思い浮かべる。
――苔のむす豆 2005年9月
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■ 目白雑録(ひびのあれこれ)2|金井美恵子|朝日新聞出版|2006年 06月|ISBN:9784022501943
★★
《キャッチ・コピー》
損得抜き、実名批評でシュート!見事に決まった!!第2弾のゴール。華麗なドリブラー金井美恵子が文壇・論壇を過激に駆け抜ける。
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