本田透■ なぜケータイ小説は売れるのか
売春(援助交際)、レイプ、妊娠、薬物(シンナー)、不治の病、自殺……半径数メートルの世界だけで起こる、小さなイベント。その中から強烈なインパクトのあるイベントを探し出すとすれば、せいぜいこれくらいしかパターンが見つからないのだ。〔…〕
そこにたまたまケータイというデバイスが登場し、誰もが「私の物語」を語れるインフラが人類史上初めて整備された。〔…〕
こうして、ケータイ小説のビッグバンが起こった。
自意識が発達した住人が多いPCの世界では「知性」や「論理性」が重んじられたが、そこまで自意識を発達させていないユーザーが多いケータイの世界では知性による突っ込みよりも「感情」「感覚」が重視された。
ゆえに、「物語」をストレートに語る行為が一般化した。一方、PCの世界ではブログによって「理論」を述べたり、「突っ込み」を入れる行為のほうが一般化したため、PC小説のビッグバンは起こらなかった。
文学者も思想家も「物語」を作らない。だから彼女たちは、自分自身で「物語」を作ることにした。そこにケータイが現れた。
――第5章 なぜケータイ小説は売れるのか
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■ なぜケータイ小説は売れるのか|本田透|ソフトバンククリエイティブ|2008年 02月|
新書|ISBN:9784797344028
★★★
《キャッチ・コピー》
話題のケータイ小説の仕組みを読み解く!
続々とヒット作が生み出されるケータイ小説の内容や仕組みを鮮やかに読み解く。
誰もがケータイを持つ時代に咲いた徒花か、それとも新しい文化の始まりなのか、ケータイ小説を読まない人でも、これ1冊で分かる画期的な内容。
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