吉本勝彦■ 吉本ですねん。~花月お笑い繁昌記
「吉本くんやったかな?」
「はい、吉本勝彦です」
「名前変えなさい」
「はっ?」
「僕は君の吉本という姓が気にいらん。吉本興業とは何の関係もないのに、僕が君に使われているみたいだ。姓を変えなさい」〔…〕
「戸籍まで変えろとは言ってない。それならせめて芸名にでもならんか」
「私は芸人と違います」
私にとって精一杯の抵抗でした。
窮した林正之助社長は、〔…〕
「うちを辞めてかたぎになりなさい」
世間がかたぎなら、吉本興業は何やねん。突っ込みたいのをじっとこらえました。
それが出社一日目のことです。以来、林正之助は私の天敵になりました。
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■ 吉本ですねん。~花月お笑い繁昌記|吉本 勝彦|エンタイトル出版|2007年 10月|ISBN/:9784903715186
★★
《キャッチ・コピー》
元花月総支配人が書いた吉本新喜劇、花月劇場物語。笑ろうて、笑ろうてやっぱり吉本の世界。花月の舞台裏、吉本の世界が新しい視点で明らかになる。勤続43年、花月支配人として歩んだ笑いと、涙の日々が一冊の本になった。
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