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2008.06.28

鹿島茂■ パリの異邦人

20080628kashimaparis

まったく、いやになるくらいモンパルナスのカフェばかりである。しかも、会っているのはアメリカ人の友人や元恋人ばかり。フランス人との交流といったら、せいぜいのところ門番女や娼婦とだけ。交わされる言葉も英語オンリーである。〔…〕

この薄っぺらなパリ体験が、アメリカ人に、より正確にはヘミングウェイの「失われた世代」にとっては、かけがえのない宝をもたらすことになる。

なぜか?

この「米領モンパルナス」で彼らアメリカ人たちは建国以来初めてと言っていい「自由」を味わったからである。

つまり、パリに来て「アメリカ人を脱ぐ」ことで、彼らは、自分たちをがんじがらめにしていた目に見えないしがらみから解放されたのである。

大切なこと、それは「パリにいる」ことなのである。モンパルナスのカフェはパリの中にある。ゆえに、そこでアメリカ人と会い、英語しか話さなくても、彼らは確実に「パリにいた」のだ。

「いる」だけで人間を変えてしまう町、それがパリなのである。

――ヘミングウェイ

*

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■ パリの異邦人鹿島茂|中央公論新社|2008 03月|ISBN9784120039201

★★★

《キャッチ・コピー》

リルケ、ヘミングウェイ、オーウェル……パリに魅せられ、パリを愛した異邦人。膨大な資料を引きながら、彼らの人となりを紹介する。

ときにかろやか、ときに淫靡―触媒都市で起こった異邦人たちの「化学的変容」を、フランス文学者が概観する。20世紀フランスの「陰」と「陽」

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