バラク・オバマ/棚橋志行:訳■ 合衆国再生――大いなる希望を抱いて
まず最初に、独力でほかの人々を暴政から解放できるという考えも疑ってみるべきだろう。ジョージ・W・ブッシュが二度目の就任演説で、自由になりたいという普遍的願望を宣言したとき、わたしも同感だった。
しかし、歴史上、人々の切望する自由が外部の干渉によってもたらされた例はめったにない。英国の支配に対するガンジーの運動から、ポーランドの(連帯)運動、南アフリカの反アパルトヘイト運動まで、前世紀に成功を収めた社会運動のほとんどすべてにおいて、民主主義は現地の人々がめざめた結果もたらされたものだった。
ほかの人々に自由を主張するという考えを吹きこみ、彼らを手招くことは可能だ。国際的な討論の場と合意を用いて、ほかの人々がしたがうべき規範を確立することはできる。
巣立ったばかりの民主主義に資金を提供し、公正な選挙を制度化するのに力を貸し、権力から独立したジャーナリストに訓練をほどこし、市民参加という習慣の種を蒔くことはできる。
権利を侵害されている現地指導者たちのために大きな声を発することはできる。自国民の権利を繰り返し侵害する者たちに、経済的、外交的な圧力をかけることはできる。
だが、わが国が銃身で民主主義を押しつけ、ワシントンに好意的と思われる経済政策を掲げている党に金をつぎこみ、現地の識者たちの支援に見合わない野心を持ったチヤラビのような亡命者に取り入ろうとするとき、わたしたちは失敗の準備をしているだけではない。
強圧的な政権が民主活動家を強国の道具呼ばわりするのに力を貸し、真の独立した民主主義が生まれる可能性を遅らせることにもなる。
――第8章 アメリカの対外政策
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■ 合衆国再生――大いなる希望を抱いて|バラク・オバマ/棚橋志行:訳|楓書店/ダイヤモンド社|2007年 12月|ISBN:9784478003534
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《キャッチ・コピー》
アフリカ系米国人として史上初の大統領を目指すオバマによる政策論。米国内の経済不安、格差、教育問題、医療問題、二大政党制が抱える矛盾、テロや世界との関わりについて、冷静な分析と具体的解決策が述べられる。日本が抱える諸問題、そして将来起こりうる危機への対処法としても読める注目の書。全米で200万部突破!
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