佐藤友哉■ 1000の小説とバックベアード
登場人物がいなくても、小説ですと作者が云えばそれは小説になる。記号表記だけで書かれていても、小説ですと作者が云えばそれは小説になる。評論形式で書かれていても、小説ですと作者が云えばそれは小説になる。愚痴しか書かれていなくても、小説ですと作者が云えばそれは小説になる。文法がめちゃくちゃでも、小説ですと作者が云えばそれは小説になる。テレビ画面に文字を表示させても、小説ですと作者が云えばそれは小説になる。誰かの文章の模写でも、小説ですと作者が云えばそれは小説になる。写真が貼られていても、小説ですと作者が云えばそれは小説になる。映像でも、小説ですと作者が云えばそれは小説になる。漫画でも、小説ですと作者が云えばそれは小説になる。文字が書かれていなくても、小説ですと作者が云えばそれは小説になる。〔…〕
つまり、
小説を書くような心で書けば、それは小説なのでは?
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■ 1000の小説とバックベアード|佐藤友哉|新潮社|ISBN:9784104525027|2007年03月
★★☆☆☆
《キャッチ・コピー》
僕は「片説家」。「小説家」と違って、純粋に「特定の個人に向けて物語を書く」仕事だ。そこにあるのは、創作とはいえないリクエストとマーケティングだけ。第20回三島由紀夫賞を受賞

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