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2008.07.12

紺野キリフキ■ ツクツク図書館

20080712konnotukutuku

「いやあ、なんでもあなた、この図書館はつまらない本を集めてるそうじゃないですか。さっき喫茶店で聞きましてね、これは次の小説のアイデアになるかもしれないぞと霊感が降りてきまして、一つ取材してやろうと思って来た次第ですよ」

館長も作家という人種に出会ったのは初めてだったので丁重に館内を案内した。作家氏は各部屋を見るたびに「ほう」「ほほう!」とへんな声をあげた。とりわけ気に入ったのは《小説家の小説の部屋》だった。〔…〕

「ここの本はほんとうにつまらない、ということです」館長は微笑んだ。「この職について以来、たくさんの本を読んできました。ですがその中に、一冊たりとも『おもしろい!』と思ったものはありません」〔…〕

「しかし中には『これは売れはしないが、味わいがあるな』と思える本もありませんか。ひとの好みなんて千差万別でしょう」

「就任当初はそう思いました。でも、ちがうんです。うちはそんな本すらありません。全てがつまらないんです。圧倒的つまらなさです」

「なるほど」

それから作家氏は棚に手を伸ばし、一冊の本を抜き出した。

「館長さん」

「はい」

「これ、私の本です」

*

*

■ ツクツク図書館|紺野キリフキ|メディアファクトリー|ISBN9784840121507200802

★★☆☆☆

《キャッチ・コピー》

つまらない本しか置いてない、ツクツク図書館。職員も建物もへんてこぞろい。奇妙でかわいくってクセになる。キリフキワールド、いざ、開幕。

memo

ナンセンスでシュール? 単に、つまらない本。

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