嵐山光三郎■ 妻との修復
職場と家庭は、相反する価値観の世界で、男は毎日、そこを行ったりきたりする。
困ったことに、妻は人事異動ができない。そのため一度こじれると、その修復は困難をきわめる。妻には「会社の論理」は通用せず、会社人間ほど妻に手をやくことになる。
修復しょうと気がついても手おくれになり、そういった男たちはグレる。男の企画力のかずかずは、欲望の見本市であって、自在なる衝動に身をまかす。となると犯罪者になる危険があるから、ぎりぎりの境いめでブレーキをかける。そこには妻というブレーキが不可欠になる。
しかしブレーキばかりかけていると、世間的常識に輪をかけた中古品の粗大ゴミになってしまう。
私のなかでうごめく漠然とした道楽人生は、義理人情と清貧と無駄遣いと旅と温泉、あとは風雅なる酒宴と海釣りと、古本と松尾芭蕉と下駄ばきの神楽坂暮らしであって、家庭の圏外にある。
ケータイ電話の圏外と同様、「通じない地域にいる」のである。
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■ 妻との修復|嵐山光三郎 |講談社|ISBN:9784062879347 |2008年03月発売|新書
★★★☆☆
《キャッチ・コピー》
できる男ほど妻とアブない。しょせん夫婦は薄皮一枚。達人、先人の修羅場に学ぶ。

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