佐藤優■ 野蛮人のテーブルマナー――ビジネスを勝ち抜く情報戦術
インテリジェンス業界の王道はなんと言ってもヒユミントである。ヒユミントとはヒューマン・インテリジェンスの略で、人間を通じて取る(盗る)情報であるが、スパイ活動よりは広い概念だ。〔…〕
この業界では、「人柄を知るのに茶なら1年、酒なら1カ月、賭博とセックスならば1時間」といわれるが、これは筆者の経験則とも合致している。
茶というのは、少し拡大解釈して、アルコールを伴わないランチも含まれる。インテリジェンスの世界では、動物行動学(エソロジー)の知識も重要だ。
動物は警戒している動物と同じ餌箱からエサを食べることを嫌がる。人間も嫌いな人とは一緒に食事をしたくないという心理がある。
それを適用して、一緒に食事をすることで、「あなたにとって私は危険な人物ではない」ということを深層心理に徐々に刷り込んでいくのが食事工作の基本だ。
筆者の過去の経験則からすると、同一人物と3カ月以内に3回以上、食事をすると、アルコールを伴わなくても、一応の信頼関係はできる。
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■ 野蛮人のテーブルマナー――ビジネスを勝ち抜く情報戦術|佐藤優|講談社|2007年 12月|ISBN:9784062143660
★★☆☆☆
《キャッチ・コピー》
ビジネスマンに送るインテリジェンスの叡智——佐藤優氏が若手ジビネスマンに贈る異色のビジネス書。究極のビジネスともいえる外交の世界で、佐藤氏が培った国家機密級のノウハウを惜しげもなく披露します。

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