« 大森望/豊崎由美■ 文学賞メッタ斬り! 2008年版 たいへんよくできました編 | トップページ | 佐藤友哉■ 1000の小説とバックベアード »

2008.07.18

葉室麟■ 銀漢の賦

20080718hamuroginkan

千鶴が思い切りよく葉に鋏を入れるのを見て源五は思わず、

「花というものは自然に咲いておってきれいなものだと思いますが、やはり葉は切らねばならぬ

ものですか」

と聞いた。千鶴はにこりと笑って、

「源五殿は、人は皆、生まれたままで美しい心を持っているとお思いですか」

「いや、それは――」

源五が頭をかくと、

「人も花も同じです。生まれ持ったものは尊いでしょうが、それを美しくするためにはおのずと切らなければならないものがあります。花は鋏を入れますが、人は勉学や武術で鍛錬して自分の心を美しくするのです」

千鶴は静かに石蕗に鋏を入れながら、

「花の美しさは形にありますが、人の美しさは覚悟と心映えではないでしょうか」

と言うのだった。

*

*

■ 銀漢の賦|葉室麟|文藝春秋|ISBN9784163262000200707

★★★☆☆

《キャッチ・コピー》

少年の日を共に同じ道場ですごした家老と郡方役。地方の小藩の政争を背景に、老境をむかえた二人の武士の運命がふたたび絡みはじめた―。第14回松本清張賞受賞作。

memo

 こういうフレーズもある。

源五は白く輝く天の川を眺めながら、

(銀漢とは天の川のことなのだろうが、頭に霜を置き、年齢を重ねた漢も銀漢かもしれんな)

と思っていた。

にほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へ

|

« 大森望/豊崎由美■ 文学賞メッタ斬り! 2008年版 たいへんよくできました編 | トップページ | 佐藤友哉■ 1000の小説とバックベアード »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 大森望/豊崎由美■ 文学賞メッタ斬り! 2008年版 たいへんよくできました編 | トップページ | 佐藤友哉■ 1000の小説とバックベアード »