小川洋子■ 科学の扉をノックする
「サイエンスは理詰めの世界です。客観的、論理的です。それを私たちは昼の科学と呼んでいます。科学者が講義をしたり、学会などで発表するのは昼の科学、デイ・サイエンスについてです。
ところがサイエンスにはもう一つ裏街道があるんです。主観的で想像性豊かな感性の世界、ナイト・サイエンスです。〔…〕
もっとすごいのはミッドナイト・サイエンスです。電気を消して、お酒を飲んで、理性を半分くらい麻痔させた時に科学者の直感、霊感が発揮されることもあります」〔…〕
「要するに大きな仕事は、あるところから常識を超えないと駄目なんです。理性だけではないんです。ジャンプするのです。証拠はあるの? と言われたら証拠はない。
しかし必ずこうなるはずだ、あるいはならせてみせます、という研究者の直感や心意気が大切になってくる。極端な場合、間違いから始まったりもします」〔…〕
――3章 命の源“サムシング・グレート”村上和雄と山の上のホテルにて
*
*
■ 科学の扉をノックする|小川洋子|集英社|ISBN:9784087813395|2008年04月
★★★☆☆
《キャッチ・コピー》
酒蔵に音楽を流すと酵母が活発化し、うまい酒ができるのは、微生物にも音を感受する“心”があるからか。
大地震の前兆として、大気の様子や動物の行動に異常が起こる。
これらは疑う余地のない厳然とした事実なのだが、いまの科学の枠組みでは捉えることができない…。そんな驚くべき現象とこれを追究する人々をリポートし、21世紀の「英知」のさまざまな胎動を探る。

| 固定リンク
コメント