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2008.07.25

丸谷才一■ 蝶々は誰からの手紙

20080725maruyatyotyo

しかし言語には伝達の道具といふ局面のはかに、思考の道具といふ性格がある。

人間は言葉を使ふことができるから、ものが考へられる。言葉が寄り添はなければ、思考は単純になったり、しどけなくなつたりする。

その思考の道具としての日本語についてはちっとも配慮しないのが近代日本の言語政策であったし、言語観であった。

明治日本は、民衆がものを考へないでゐてもらひたいと望んだ。〔…〕

いま日本経済はあやふく、政治はひどいことになってゐる。一方、日本語に対する関心がすこぶる高い。この二つの現象は別々のことのやうに受取られてゐるけれど、実は意外に密接な関連があるはずだ。

といふのは、誰も彼もが国を憂へてゐるが、しかし何をどう考へたらいいか、わからない。何も頭に浮はない。

そこで、これは考へるための道具である日本語の性能が低いのではないかといふ不安が生じたのだ。みんなの心の底で、漠然と。

――「考へるための道具としての日本語」

*

*

■ 蝶々は誰からの手紙|丸谷才一|マガジンハウス|ISBN9784838717682 200803月発売

★★★☆☆

《キャッチ・コピー》

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