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2008.08.20

『源氏物語大辞典』編集委員会■ 源氏物語入門

20080820genjinyumon

あれこれお思いになることはいろいろで、誰か男が隠し住まわせているのではなかろうかと、ご自身がありとあらゆる場合にお考えをめぐらせ、かつて浮舟を宇治に隠して見捨てておかれたご経験から、そうご想像になられました……と、もとの本にございますようです。〔…〕

それにしても、長編五十四帖の物語の結末が、まるで見当はずれのことを疑っている薫の姿で終わるとは、いささか期待はずれだと感じる読者もいるだろう。

作者には、この続きを書く構想があったはずで、それが何らかの理由で書き継がれなかったのではないかと考える読者もいるかもしれない。〔…〕

一方、このような終わり方に意味や味わいを読み取ることもできる。

浮舟の知らない薫の俗物的な一面が書き記されたことは、浮舟の将来が決して生やさしいものではないという現実を、読者に突きつけたことになろう。ハッピー・エンドでないことは、人間の心の問題を追究してきた『源氏物語』の結末として、むしろふさわしいとも言えよう。

いずれにせよ、現存する『源氏物語』は、このような終わり方になっているのである。物語の続きは、読者がそれぞれの思いの中に紡いでいけばよいのではなかろうか。

――コラム「物語の終わり」

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■ 源氏物語入門|『源氏物語大辞典』編集委員会|角川学芸出版|ISBN9784047034273 200807

★★★☆☆

《キャッチ・コピー》

『源氏物語』の雅な世界を探訪してください。

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