西江雅之■ 「食」の課外授業
「伝統」。これは、大変魅力的な言葉です。〔…〕
その要点は、
1、「伝統」とは、基本的には「未来」である。
2、現代の「伝統」は、人々によって意図的に創られるものである。
3、「伝統」は、それを構成するいくつかの「要素の末」から出来ている。
というものです。〔…〕
ある地域の「伝統食」も、ある店の「伝統料理」も、「素材」、「色・形」、「味」、「調理器具」、「調理法」、それにそぐう「食器」、場合によっては客筋などという「支えの要素」の「束」としてあるのですが、
その場合、「伝統」であることを本格的に支えているのは、素材や調理器具などではなくて、色や形や味付けや、それを盛りつける食器であったりするのです。
したがって、〔…〕食材が外国からの物であっても構わないし、調理器具が炭を使う竃ではなくて洋式オーブンであっても構わないし、盛りつける食器が木の椀や皿ではなくてプラスチックの碗や皿であっても、
それは必ずしも「伝統」であることを壊すものではないとされるのです。
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■ 「食」の課外授業|西江雅之 |平凡社|ISBN:9784582853049 |2005年12月|新書
★★★☆☆
《キャッチ・コピー》
人間にとって「食べる」とはなにか? 日々行っている「食べる」ことと「飲む」ことについて、ちょっと視点を変えて見てみると…。文化人類学の視点から見た、驚きに満ちた人間と食の関係。
《memo》
たとえば、動物の一種が「人間」と呼ばれるようになった起源の時期を、500万年前とします。そして、その500万年を1年間、すなわち1月1日から12月31日までの365日間に置き換えてみましょう。すると、今から100年前の出来事は、なんと12月31日の午後11時50分頃のこととなります。それは除夜の鐘が鳴り始める直前のことでしかないのです。(本書より)
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