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2008.12.08

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻4

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一途につのってきた感情にそそのかされてか、着馴れて肌に柔らかくなったお召物を、衣ずれの音も実にうまくまぎらわせて、人に気づかれないようにそっとお脱ぎになり、姫君の横にぴったりと添い寝をなさいました。

姫君は辛くてたまらず、女房たちもいったいどう思うことかと、例のないことなのでたまらなく情けないお気時でいらっしゃいます。〔…〕

しきりに涙があふれ出るのが、見るからに痛々しい御様子なので、源氏の君は、

「そんなふうにいやがられるとは恨めしいことです。まったくの赤の他人でも、男女の仲のならわしで、女は男にみな身をまかせるものなのにこんなに長い間親しくしていて、添い寝する程度のことが、何でおいやなのでしょう。

これ以上、無理なことをしようというつもりは決してありません。こらえようにもこらえきれない激しい恋しさを、せめてなだめるだけなのに」

と、いかにもしみじみとおやさしくお話しになることは尽きません。今までにもまして、こうして近々と添い寝までした女の感じは、昔の夕顔そのままで、源氏の君は切なさに胸がしめつけられます。

――「胡蝶」

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■ 源氏物語――巻4|紫式部/瀬戸内寂聴 |講談社 |ISBN9784062757010 200704月|文庫

★★★☆☆

《キャッチ・コピー》

薄雲/朝顔/乙女/玉鬘/初音/胡蝶

memo

玉蔓があんまり夕顔に似て見えたので、源氏はたまらなくなり、〔…〕「お母さまに似ているので」と打ちあけてしまう。玉蔓は全く思いがけない事態に呆れはてて、情けなくおびえ震えている。そうしたある日、源氏はこんな好機はないと、するりと衣服をぬぎ、玉蔓の横に近々と添い寝してしまう。これはもうただならぬ事態である (源氏のしおり・胡蝶)

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