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2008.12.09

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻5

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花散里の君との間は、今ではただ表面は御夫婦らしいだけで、御寝所なども別々にお寝みなさいます。

どうしてこんなふうによそよそしくなったのかと、源氏の君は心苦しくお思いになられます。

花散里の君は、大体が何かと嫉妬めいたことはおっしゃらず、この年頃ずっと、こうしたその折々の様々なお催しの噂も、人伝に知ったり闘いたりするだけだったのに、今日は珍しいことに、こちらでこうした催し事が行われただけでも、この町にとっては、たいそう晴れがましい名誉だったと満足していらっしゃいます。〔…〕

「朝夕いつも御一緒にいるわけでもないわたしたちですが、こうしてお逢い出来るととても心が安らぎます」

と、源氏の君は冗談半分におっしゃるのですが、花散里の君が、おっとりしたお人柄なので、ついしんみりした口調になってお話しになります。

御自分の御帳台は源氏の君にお譲りになって、几帳を間に隔ててお寝みになります。

君のお側に夫婦として共寝をなさるようなことは、まったく不似合いなことと、すっかりあきらめきっていらっしゃるので、源氏の君も無理に共寝をお誘いなさることもありません。

――「蛍」

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■ 源氏物語――巻5|紫式部/瀬戸内寂聴 |講談社 |ISBN9784062757379 200705月|文庫

★★★☆☆

《キャッチ・コピー》

蛍/常夏/篝火/野分/行幸/藤袴/真木柱/梅枝/藤裏葉

memo

その夜、源氏は珍しく花散里のところに泊る。しかし花散里は自分の帳台を源氏にゆずり、自分は几帳の陰に寝て、同衾しない。それが当り前と思っている花散里に源氏は心慰められる。性抜きの夫婦でありながら、源氏は大切な夕霧や玉蔓を預けるほど信頼しているのである。(源氏のしおり・蛍)

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