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2008.12.10

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻6

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よそながら想像していたかぎりでは、女三の宮は威厳がおありで、馴れ馴れしく打ちとけてお逢いするなどしたら、気おくれしそうなお方と推量していましたので、

柏木の衛門の督は、ただ、こんなにまで思いつめた恋心の片端だけでも訴えて、お聞きいただければ、かえってそれ以上の色めいた行為には及ばないでおこうと、思っておりました。

ところが現実の女三の宮は、それほど気高く、気がひけて近寄りにくいというようではなくて、やさしく可愛らしく、いかにもなよやかにお見えの感じが、この上なく上品で美しく思われますのは、誰に比べようもないのでした。

衛門の督は、そんな女三の宮のお姿を近々と目にし、柔らかいお肌にふれているうちに、もう冷静な理性も自制もすべて失ってしまって、どこへなりとも女三の宮をお連れして、お隠ししてしまい、自分もまた世間を捨てて、御一緒に行方をくらましてしまおうかとまで、惑乱するのでした。

――「若菜下」

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■ 源氏物語――巻6|紫式部/瀬戸内寂聴 |講談社 |ISBN9784062757614 200706月|文庫

★★★☆☆

《キャッチ・コピー》

若菜上/若菜下

memo

女三の宮はぐっすり眠っていたが、ふと気づくと、傍に男がいるので、てっきり源氏が帰って来たのだと思いこんでいた。それがとんでもない別の男だとわかり、気も動転したが、どうするすべもなかった。柏木は目の当たりに見る、恐ろしさにわなわな震えている女三の宮の上品で可憐な姿に、理性も消し飛んでしまい、ついに女三の宮を犯してしまった。(源氏のしおり・若菜下)

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