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2008.12.12

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻8

20081212setouti08

薫の君は側にあった低い几帳を仏間のほうとの隔てに置いて、しばらく大君の横に形ばかりの添い寝をなさいました。〔…〕

薫の君は、

「こうして何ということもなく、ただ月も花もふたりで同じ気持で楽しく眺めたり、はかないこの世の無常をお互いに話しあったりして暮したいものですね」。〔…〕

薫の君は、

「さも昨夜何かあったように朝露を踏み分けて帰ることも出来ないでしょう。そんなことをしたら、かえって人はまたどのような推量をするかわかりません。

表面は普通の夫婦のようにさりげなくお振舞いになって下さい。ただ世間の夫婦とは違って、これから後も清らかな間柄のまま、それでもこの程度にはどうかお逢い下さい。決して、御心配をおかけするような料簡は持ってはいないと、御安心下さい。

こうまでひたむきに思いつめているわたしの心を、不憫とも思って下さらないのが情けのうございます」

とおっしゃって、一向にお帰りになろうとする気配もありません。

――「総角」

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■ 源氏物語――巻8|紫式部/瀬戸内寂聴 |講談社 |ISBN9784062758185 200708月|

文庫

★★★☆☆

《キャッチ・コピー》

竹河/橋姫/椎本/総角

memo

薫は御簾の中へ入り、大君の顔を見てしまう。その美しきにいっそう心をそそられるが、大君はそんな薫の態度を恨み、かたくなに拒み通す。〔…〕何事もないままその夜を語り明かすが、女房たちは、ついにふたりは結ばれたものと思いこみ、気を利かしたつもりで近寄らない。薫はこうした性ぬきの夫婦でもいいから大君と結婚したいと訴える。(源氏のしおり・総角)

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