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2008.12.13

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻9

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薫の君は、昔のことを後悔する気持の辛さなども、たいそう耐えがたく苦しいでしょうに、昔でさえ、世にも珍しいほど、慎重で謹厳な性格だったのですから、

今夜もやはり自分の欲望のままに強引に押し通すような衝動的な行動は、女君に対しておとりになれないのでした。〔…〕

「この頃御気分がすぐれないと前から聞いていたのは、もっともなことだった。中の君がたいそう恥ずかしがっていらっしゃった妊婦のしるしの腹帯に気がついてそれが痛々しかったばかりに、ほとんどそのために思い止まったのだ」〔…〕

「晴れて気ままに逢うわけもいかないだろうが、人目を忍びながらでも、これ以上愛の深まる女はほかにはいない、自分の恋の最後の女としよう」

など、ただもう中の君のことばかりが頭から離れず、思いつづけていらっしゃいます。

あまりと言えば、怪しからぬお心ではありませんか。

これほど思慮深く賢そうにしていらっしゃっても、男というものは、何という情けなく浅ましいものなのでしょう。

――「宿木」

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■ 源氏物語――巻9|紫式部/瀬戸内寂聴 |講談社 |ISBN9784062758352 200709月|文庫

★★★☆☆

《キャッチ・コピー》

早蕨/宿木/東屋

memo

薫は中の君への恋情を抑えかねて、逃げる中の君の袖を捕らえ、御簾の中に追い迫って強引に女君に寄り添い、横になって綿々と掻き口説く。中の君は思いがけない事態に恐れ惑う。〔…〕。薫は中の君の腹帯に気がつき、懐妊していたことに遠慮して、それ以上の振舞いは思い止まり、ひかえてしまった。(源氏のしおり・宿木)

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