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2008.12.19

三田村雅子/芸術新潮編集部■ 源氏物語――天皇になれなかった皇子のものがたり

20081219mitamuragenji

天皇家が実際の政治権力を失った後も存続し続け、現在までもちこたえることができたのは、日本史最大の「謎」です。

絶大な武力と政治力を振ったはずの北条も足利も織田・豊臣・徳川も、決して力で天皇家を押しつぶしてしまおうとはしなかった。

あるギリギリのポイントで天皇制を生き延びさせようとする力学が働くのです。その力学の核のひとつに、じつは源氏物語があった、私はそう思っています。

天皇制とは、源氏物語の人気を囲い込み、源氏物語を通じて、あるべき「王権」の構造を提示するシステムの別名だったのかも知れません。

源氏物語が圧倒的な物語の魔力を発揮し得たのはそれが平安時代という400年も続いた平和の時代の、平和であるがゆえに達成された文化の頂点の唯一の証言者だったためです。

その時代の建築や美術・工芸品のほとんどが失われてゆく中、源氏物語だけは完全な形で残り、それを読めば王朝の最も豊かで充実した生活を回復することができる、そうした聖なるテキストとしての地位を固めてゆきます。

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■ 源氏物語――天皇になれなかった皇子のものがたり|三田村雅子/芸術新潮編集部 |新潮社 |ISBN9784106021787 200809

★★★☆☆

《キャッチ・コピー》

現存最古の源氏絵、国宝「源氏物語絵巻」の全画面を読み解き、歴史の中で源氏物語が果たした役割を追究する。全56面一挙収録。幻の“黄金の庭絵巻”も登場。

memo

源氏絵の入門書。

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