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2008.12.22

日向一雅■ 源氏物語の世界

20081222hyuugagenji

源氏物語がいつ書き始められたのかはわからないが、宮仕えに出る前、寡婦生活の時期には執筆されていたであろう。

それは右に見てきたような彼女の日常的な憂愁の思い、人生への不遇感、没落感を代償するような意味があったと思われる。

道長の栄華をしのぐ源氏物語の主人公たちの栄耀栄華の世界には彼女の衰退する家門の見果てぬ夢が託されていたのかもしれない。

しかし、栄華をきわめた光源氏の人生は悲哀で閉ざされ、物語の最後の浮舟の出家も薫の道心もともに仏道の悟りや救いとは無縁の次元にある。

それが作者紫式部の見据えた人間の姿であったのであろうか。悩み迷うはかない人間の現実を掘り下げれば掘り下げるほど深い闇に直面する。

紫式部の文学はそのような人間の世界を形象したように見える。

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■ 源氏物語の世界|日向一雅 |岩波書店|ISBN9784004308836 200403月|新書

★★★☆☆

《キャッチ・コピー》

源氏物語は恋と愛の物語であり、王権と政治の物語であり、人の生き方と救済を問う物語でもある。〔…〕桐壷巻に仕掛けられた4つの「謎」を手がかりにその世界を読み解いていく。源氏物語は、読者に問いかける物語なのである。

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