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2008.12.16

柴田よしき■ 小袖日記

20081216shibatakosode

「お歌もお上手とは言えないし、唯一のご趣味のお琴もね、まあなんとか聴けないことはない、という程度の腕前でしょう。その上鼻のあたまが赤くてはねぇ。

これはもう、涼風の君さまに後見していただくのは無理だろうと諦めたら、なんと。〔…〕末永く面倒をみさせていただくことにした、なんておっしゃって!」〔…〕

「まあね、もうお通いになるおつもりはなさそうですけどね、いいわよね、それでも。経済的に

援助してもらえるなら、少しは寂しい思いをしたって、飢えるよりはましでしょう。どうもねぇ」

命婦は声をひそめた。

あなたのご主人の香子さまが、お鼻のあたまが赤い気の毒なお姫さまの物語をお書きになっていらっしゃるというお噂が、君さまのお耳に入ったようなのですよ。〔…〕

それでね、可哀想な姫を見捨てたなんて物語で書かれてしまってはイメージダウンになるからと、それでご決心になったようなの。あなた、本当のところはどうなのか、ご存じありませんこと?」

――第2章 末摘花

*

*

■ 小袖日記|柴田よしき |文藝春秋|ISBN9784163258904 200704

★★★★☆

《キャッチ・コピー》

不倫に破れて自暴自棄になっていたあたしは、平安時代にタイムスリップし、『源氏物語』を執筆中の香子さまの片腕として働くことに…。平安の世も、現代も、女は哀しくて強い―。

memo

絶世の美女・末摘花がなぜ醜女に描かれた? ひねりのきいた第1級のエンターテイメント。

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