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2009.01.01

■源氏物語&関連本

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◆現代語訳

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻1

せめて、ふたたびはあやまちを繰り返すまいと、深くお心に決めていらっしゃいました。それなのに、またこのようなはめに陥ったことがたまらなく情けなくて、耐えがたいほどやるせなさそうにしていらっしゃるのでした。

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻2

「わたしは何をしても誰からも咎められないから、人をお呼びになっても何にもなりませんよ。そっと静かにしていらっしゃい」

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻3

お逢いになられてから、ご情愛もいっそう深まるのでしょう。いつもなら飽き飽きして恨めしく思われる秋の夜の長さも、今朝ばかりは早々と明けたような気がします。

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻4

まったくの赤の他人でも、男女の仲のならわしで、女は男にみな身をまかせるものなのに、こんなに長い間親しくしていて、添い寝する程度のことが、何でおいやなのでしょう。

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻5

「朝夕いつも御一緒にいるわけでもないわたしたちですが、こうしてお逢い出来るととても心が安らぎます」

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻6

柔らかいお肌にふれているうちに、もう冷静な理性も自制もすべて失ってしまって、どこへなりとも女三の宮をお連れして、お隠ししてしまい、自分もまた世間を捨てて、御一緒に行方をくらましてしまおうか。

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻7

堅物の真面目男が一度浮気で狂いだすと、全く別人のように変わってしまうと聞いていたのは、ほんとうだったのだ。

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻8

ただ世間の夫婦とは違って、これから後も清らかな間柄のまま、それでもこの程度にはどうかお逢い下さい。

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻9

「晴れて気ままに逢うわけもいかないだろうが、人目を忍びながらでも、これ以上愛の深まる女はほかにはいない、自分の恋の最後の女としよう」

紫式部/瀬戸内寂聴■ 源氏物語――巻10

「それまでに、薫の君が来ても、あの人に身を任せたら許さないよ」と、大変な難しいことなどを誓わせようとなさいますので、そんな無理なことをと思って、浮舟の君はお返事も出来ず。

◆小説

丸谷才一■ 輝く日の宮

★★★★」「匂宮が浮舟に、男と女の絵を描いてあげるところあつたでせう、できることならいつもかうしてゐたい、なんて」「うん、あつた」「あれは宮様がポルノ描いて渡すのね」

柴田よしき■ 小袖日記

★★★★あなたのご主人の香子さまが、お鼻のあたまが赤い気の毒なお姫さまの物語をお書きになっていらっしゃるというお噂が、君さまのお耳に入ったようなのですよ。

田辺聖子■ むかし・あけぼの(上)――小説枕草子

★★★★「――だから、わたしが書きためたものは『自分が読みたいけれど、どこにもないから、仕方なく自分で書いた』、というようなものなの」

田辺聖子■ むかし・あけぼの(下)――小説枕草子

★★★★物語を創作する人間は、おのが描き出した宇宙にむしろふりまわされて、骨身を削り、生みの苦しみに肉を殺いで、それでもつねに渇えつつ、何かを求めつつ、死んでゆく。

清水義範■ 読み違え源氏物語

その后は愚かすぎたので、不幸になる能力すらなかったのである。

森谷明子■ 千年の黙――異本源氏物語

源氏の物語をこのまま『かかやく日の宮』抜きで生かすか。それとも、我を通してもう一度源氏の物語を世に出しなおし、すべてが闇に葬られるかもしれない事態を招くか。

田辺聖子■ 新源氏物語(上)

裳の裾を引いてみると、典侍は、相手を源氏と知りながら、「まあ、どなた……」と婀娜(あだ)っぽくいって、派手な絵をかいた扇で顔をかくし、こちらを流し目で見返る。

田辺聖子■ 新源氏物語(中)

まだ独身でいてはりますねんとなあ。北の方がおきまりやないなら、うちにきめとくれやす。

田辺聖子■ 新源氏物語(下)

今こそこう浅ましい物の怪の身の上だけれど、もとはといえば人間、源氏の君恋しと心に沁みついた思いは失せていない。

田辺聖子■ 霧ふかき宇治の恋(上)――新源氏物語

世間では匂う兵部卿、薫る中将と聞き苦しいまでもてはやすのであった。

田辺聖子■ 霧ふかき宇治の恋(下)――新源氏物語

法のみちから恋の山に踏みまどうたというが、浮舟はあべこべに、恋の山に踏みまどうて、法のみちに入ったのである。

◆評論・解説

山本淳子■ 源氏物語の時代―― 一条天皇と后たちのものがたり

★★★★しかしこの一言は『源氏物語』研究史の上では重要だ。これによって、寛弘51008)年に「若紫」の巻があったことが確かに知られるからだ。

伊井春樹・編■ 一千年目の源氏物語

なにしろ谷崎の訳が中央公論社から出るというので、世間は大変な興奮ぶりを示し、たちまちにして『源氏物語』は現代日本文学の地続きの古典という、そういう格の高いものになった

大塚ひかり■「ブス論」で読む源氏物語

女たちの身体描写は、そのセックスの内容や、人生までほうふつとさせてくれる。

河合隼雄■ 紫マンダラ――源氏物語の構図

紫の上は出家の願いを口に出すが、源氏は最後まで許すことができず、紫の上の死後、夕霧に命じて落飾させるのがやっとであった。ここに男性との絆を切って一人で生きようとする女性と、女性なしには生きておれない男性の姿が明瞭に示されている。

倉田実:編■ 現代文化と源氏物語

ロリコンとして認知された光源氏は、「少女育成願望」を実現した先駆者として、憧れの対象になっている

立石和弘■ 男が女を盗む話 ――紫の上は「幸せ」だったのか

紫の上の内面を通して批判され、相対化されていくものは、男社会にあって、物のようにして扱われる女、思い通りになる存在として扱われる女の位置づけであり、まさしくそれは、掠奪する男の幻想そのものでもあった。

橋本治■ 源氏供養(上)

こういうことを言うのはなんですが、光源氏に感情移入の出来る男性というのは、現代ではそうそういないと思います。

橋本治■ 源氏供養(下)

どうして浮舟は薫を拒んだんでしょう?難しいようでいて、この答は、至って簡単です。「その彼が、嫌な男だったから」なんですね。

日向一雅■ 源氏物語の世界

悩み迷うはかない人間の現実を掘り下げれば掘り下げるほど深い闇に直面する。紫式部の文学はそのような人間の世界を形象したように見える。

三田村雅子/河添房江/松井健児:編■ 源氏物語いま語り

平安時代の出家というのは、家庭内離婚の、ひとつの形だって言われていますけれど、お寺にはあんまり入らなくて、家庭の中で家政を一切見なくなるっていうのが出家

村井康彦:編■ 平安京の光と闇――貴族社会の実像 

和魂という言葉は、〔…〕和やかな・甘美な・もののあわれの解る魂のことを指す言葉として、用いられてきていたのです。

安田政彦■ 平安京のニオイ

われわれは清潔で明るい環境を享受するがゆえに、「匂い」の美しさや暗く不潔な環境にあったであろう「畏れ」を忘れ去ってしまったのではないか。

渡辺実◆大鏡の人びと――行動する一族

平安時代の衰弱を感じとった人びとの間からは、「もののあはれ」への否定の声が上がるであろう。『大鏡』は、そういう主張から生まれるべくして生まれた作品であったと思われる。

◆入門ガイド・その他

小泉吉宏■ まろ、ん?――大掴源氏物語

★★★★ただ鎌倉時代の藤原定家の注釈書『源氏物語奥入』に「一説には 二 かかやく日の宮 この巻なし」とある。一説によると第二帖「輝日宮」は、初めはあったらしいが、定家の時代にすでになかったという意味だ。

渋谷栄一■ 源氏物語を楽しむ本

★★★★ちなみに、高貴な男女にとって「見る」はまさに「契る」を意味しています。

伊井春樹■ 源氏物語を読み解く100

源氏はこの女性の歌声を聞きましたが、彼女が口にしていたのは次の歌の一節のどれが正しいでしょうか。

芸術新潮編集部/三田村雅子■ 源氏物語――天皇になれなかった皇子のものがたり

天皇制とは、源氏物語の人気を囲い込み、源氏物語を通じて、あるべき「王権」の構造を提示するシステムの別名だったのかも知れません。

『源氏物語大辞典』編集委員会■ 源氏物語入門

ハッピー・エンドでないことは、人間の心の問題を追究してきた『源氏物語』の結末として、むしろふさわしいとも言えよう。

五島邦治/風俗博物館■ 六條院へ出かけよう――源氏物語と京都

きっと心ときめくことがあるだろう。〔…〕それからちょっといい男から歌を詠みかけられるかもしれない。

三田村雅子/芸術新潮編集部■ 源氏物語――天皇になれなかった皇子のものがたり

天皇制とは、源氏物語の人気を囲い込み、源氏物語を通じて、あるべき「王権」の構造を提示するシステムの別名だったのかも知れません。

村井康彦/京都新聞出版センター■ 平安京と王朝びと――源氏物語の雅び

御簾や几帳、屏風のかなたの女性の芳しい香りや、丈なす長い髪の美しさ、袖口からこぼれる色合わせの具合などから、美人か否かを鋭敏に判断する

永六輔/矢崎泰久■ ふたりの品格

お札らしからぬ絵柄も描かれている。だから、守礼の門がある沖縄だけに二千円札を押しつけて、本土のほうにはあまり流通させないようにしているという説がある。

丸谷才一/三浦雅士/鹿島茂 ■ 千年紀のベスト100作品を選ぶ

『源氏物語』だって、ここはどういう体位だろうか、ぐらいに思って読まなきゃダメなんです。

大塚ひかり■ いつから私は「対象外の女」

「光源氏が実に比類ない美しさであるにつけ、いよいよすべてを許してしまうのは惨めな気持ちがするので、お堅く不愉快な女と思われようとも、何を言っても手応えのない女で通してしまおうと思い、ひたすらつれなく振る舞った」

田丸公美子■ 目からハム――シモネッタのイタリア人間喜劇

名前も呼び合わず何度も肌を重ね、操より名前のほうが大事だと考える。平安の日本人は、世界有数のアヴァンギャルドな民族だったのだ。

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コメント

元旦の「本」、既読のものですよね、
それにしてもただ事じゃない、

今年もまた、ペース維持ですか?
体調に気をつけてください、

わたし、
みっともないことになる前に、尺八独り稽古限定生活に徐々に入ろうと思うが、なかなかすんなりといかなくてウロウロしておるよ、

投稿: 波平 | 2009.01.02 08:02

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