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高野秀行◆辺境の旅はゾウにかぎる

20090107takanohenkyo

ゾウを乗り物にするのは、いろいろと問題がある。

一つはものすごく揺れること。ゾウ本人は静かに歩いているつもりらしいが、なにしろ巨大なので、ぐらんぐらん、前後左右に揺れまくる。十分もしないうちに気持ちがわるくなった。「ゾウ酔い」である。〔…〕

もう一つの欠点がある。ゾウは生き物だ。ときには上り坂でいかにも苦しそうにベースを落とたり、ぬかるみに足をとられることもある。

そんなとき、車なら何も考えないだろうが、なんせ生き物なので、思わず「頑張れ!」「あと少しだ」などと心の中で声をかけ、応援疲れしてしまう。

ゾウが疲れてきたり、腹を空かせて勝手に野生のバナナに鼻を伸ばし、歩くペースが遅くなると、ゾウ使いが容赦なく刀の峰でゾウをぶっ叩くのにも参った。ゾウはその都度、「ぱおーん!」と悲鳴をあげる。

可哀想ということもあるが、いつかゾウがぶち切れ、反乱でも起こすんじゃないかという心配までしてしまうのだ。

――「ミャンマーのゾウに乗って」

*

*

◆辺境の旅はゾウにかぎる|高野秀行 田本の雑誌社 |ISBN9784860110833 200806

★★

《キャッチ・コピー》

辺境作家・高野秀行の魅力をすべて詰め込んだ一冊。初のバラエティブック誕生。

memo

バラエティブックとは、聴こえはいいがエッセイ、対談、書評など寄せ集めの本ということ。

高野秀行■ アジア新聞屋台村

高野秀行■ ワセダ三畳青春記

高野秀行■ 怪魚ウモッカ格闘記――インドへの道

高野秀行■ 極楽タイ暮らし――「微笑みの国」のとんでもないヒミツ

高野秀行■ 西南シルクロードは密林に消える

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