高野秀行◆辺境の旅はゾウにかぎる
ゾウを乗り物にするのは、いろいろと問題がある。
一つはものすごく揺れること。ゾウ本人は静かに歩いているつもりらしいが、なにしろ巨大なので、ぐらんぐらん、前後左右に揺れまくる。十分もしないうちに気持ちがわるくなった。「ゾウ酔い」である。〔…〕
もう一つの欠点がある。ゾウは生き物だ。ときには上り坂でいかにも苦しそうにベースを落とたり、ぬかるみに足をとられることもある。
そんなとき、車なら何も考えないだろうが、なんせ生き物なので、思わず「頑張れ!」「あと少しだ」などと心の中で声をかけ、応援疲れしてしまう。
ゾウが疲れてきたり、腹を空かせて勝手に野生のバナナに鼻を伸ばし、歩くペースが遅くなると、ゾウ使いが容赦なく刀の峰でゾウをぶっ叩くのにも参った。ゾウはその都度、「ぱおーん!」と悲鳴をあげる。
可哀想ということもあるが、いつかゾウがぶち切れ、反乱でも起こすんじゃないかという心配までしてしまうのだ。
――「ミャンマーのゾウに乗って」
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◆辺境の旅はゾウにかぎる|高野秀行 田本の雑誌社 |ISBN:9784860110833 |2008年06月
★★
《キャッチ・コピー》
辺境作家・高野秀行の魅力をすべて詰め込んだ一冊。初のバラエティブック誕生。
《memo》
バラエティブックとは、聴こえはいいがエッセイ、対談、書評など寄せ集めの本ということ。
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