上野千鶴子◆おひとりさまの老後
わたしは山に仕事場をもっているが、その地に移住してきた定年退職者のコミュニティのお仲間に入れていただいている。〔…〕
ときどき集まっては食事をともにするが、自分の自慢話ばかりするひとや、他人の過去を詮索するひと、説教癖のあるひとなどは、その場ではにこにこ合わせているものの、次回からさりげなくはずされている。
その観察力と人物鑑定眼のたしかさに、こわーと思いつつ舌をまく。
せっかく歳をとって世俗的な利害から離れているのだもの、もうイヤな相手とがまんしてつきあう理由はない。
時間もエネルギーもかぎられているとなれば、キモチのよい相手とキモチのよい時間を過ごしたい。そう思えるのが、〝年の功″というものであろう。
――「第3章・だれとどうつきあうか」
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◆おひとりさまの老後|上野千鶴子 |法研|ISBN:9784879546807 |2007年07月
★★★
《キャッチ・コピー》
結婚していようがいまいが、だれでも最後はひとり。「これで安心して死ねるかしら」
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